小規模個人再生で返済額増加時

個人再生の基礎

小規模個人再生では最低弁済基準額が決まるというお話はしましたが、どのような場合でもこの最低弁済基準額さえ支払えば良いのかというとそうではありません。
そこには、「精算価値保証の原則に反してはならない」という取り決めが再生計画によって返済金額を決める時にあるからです。


簡単に言ってしまえば、「再生計画による返済額は自己破産で支払われる額以上を支払わなくてはならない」ということです。

ややこしいところもありますので、例をあげておきます。

たとえば、200万円の資産を持っている人が5社から総額450万円の借金があった場合、自己破産と小規模個人再生とでは次のように処理が異なります。

自己破産の場合、450万円の借金はなくなりますが、200万円の資産は借金総額に応じて業者5社に分配することになります。
一方、小規模個人再生の場合、返済しなくてはならない額は100万円で、これを借金総額に応じて5社に分配する。資産200万円はそのまま持っていられます。

どちらが有利かは一目瞭然です。
小規模個人再生を選択すれば支払いで100万円の差がありますし、資産の200万円も処分せずに持ち続けることができます。

しかし、業者にとっては小規模個人再生をされると不利益になる可能性が大きいのです。
こうした業者側の一方的な不利益を防止するために設けられています。
この場合、最低弁済基準額は100万円となりますが、実際に再生計画で支払うことになる総額は自己破産した時と同じ200万円となります。