引き直し計算をすると借金の額が減るという話は何度かしていますが、話だけではイメージできないこともありでしょうから、ここではある例をあげてご説明したいと思います。
仮にサラ金から50万円を年利率29.2%で借りて、毎月の返済額は2万3千円という約束をしたという設定にします。
翌月になり約束とおりに2万3千円を返済したとして、その時点で残っている元本を計算すると次のようになります。
●1ヶ月分の利息・・・
50万円 × 29.2% ÷ 12(ヶ月)= 1万2166円
●元本返済分・・・
2万3000円 ― 1万2166円= 1万834円
●残りの元本・・・
50万円 ― 1万834円= 48万9166円
元本が予想以上に少なくなる?
この計算は出資法に基づく計算で、今は違法となっています。
では現在の正しい年利率18%を越える部分は無効となり、
引き直し計算をすると次のようになります。
●支払うべき利息・・・
50万円 × 18% ÷ 12(ヶ月)= 7500円
出資法で計算した時は1ヶ月の利息が1万2166円だったのに対し、
引き直し計算をおこなうと7500円でよかったという
結果になります。
したがって、
以下のように1ヶ月に4666円も過払い金が発生しているのです。
●過払い利息・・・
1万2166円 ― 7500円 =4666円
過払い金は元本に充当されるので、
正しい残りの元本は以下のとおりです。
●元本返済分・・・
1万8341万5500円円 + 4666円 = 1万5500円
●残りの元本・・・
50万円 ― 1万5500円 = 48万4500円
29.2%と18%ではなんと、
たった1ヶ月で残りの元本に4666円もの差が出るのです。
元本が減れば減るほど利息も減るわけですから、こ
れはとても大きな違いです。
もし、長期間年利29.2%の利息を払い続けていたとしたら、引き直し計算をすると過払い金も多く、その結果元本が予想以上に少なくなることは珍しくはありません。